自筆証書遺言について
◆自筆証書遺言の方式
遺言書の偽造、変造を防止するために、民法は厳格な要件を定めています。自筆証書遺言の要件としては、遺言の全文、日付を自書し署名押印することが挙げられます。
◆自書について
自筆証書遺言においては、遺言者の真意を確保し、偽造、変造を防止するために、すべて自筆で作成するものとされています。カーボン複写を用いた遺言については、有効 です。
◆日付
日付についても遺言者の自書が必要とされています。日付が必要とされる理由は、遺言作成時の遺言者の遺言能力の有無、内容の抵触する複数の遺言がある場合に、その先後関係を明らかにして撤回の有無を判断するためです。日付の記載方法としては、年、月、日を明らかにして記載します。西暦でも元 号でもどちらでも問題ありません。令和6年4月吉日という記載は日付の特定を欠くものとして無効と解されています。
◆署名
遺言書には、遺言者が氏名を自書しなければならないとされています。 これは、遺言者の同一性及び遺言が遺言者の意思に基づくものであることを確保するためです。
氏名については、通常は戸籍上の氏名が用いられますが、遺言者の同一性を確認することができれば足りますので、通称、ペンネーム、雅号を用いても問題ないと考えられています。
もっとも、署名は、戸籍上の氏名を正確に記載するのが望ましいと考えられます。
自書によらない財産目録を添付する場合には、毎葉に署名が必要になります。
◆押印
押印は、原則として遺言者自身がしなければなりません。これは遺言者の同一性及び遺言が遺言者の意思に基づくものであることを担保するためです。
使用する印には格別制限はなく、実印を用いる必要はありません。認印でもよいと考えられています。指印でもよいと解されています。自書によらない財産目録を添付する場合には、毎葉に押印が必要になります。
◆作成上の留意点
遺言書に用いられる字、用語については特に制限はありません。かな、漢字、 速記文字でもよく、意味内容がしっかりと分かれば略字を用いることもできます。
用紙、用具についても格別制限はありません。ただ、保存に耐えるものが望ましいと考えれます。筆記用具については、ボー ルペン、万年筆等が望ましいと考えられます。
遺言書の様式については特に制限はありません。
自筆証書遺言を作成するのでしたら、読みやすい字で明確に、財産の遺漏がないように気を付けるべきです。また、遺言書が見つけてもらえない可能性もありますので、作成段階から行政書、弁護士に相談し、場合によっては行政書士、弁護士に保管を依頼することも考えられます。
当事務所では自筆証書遺言の作成支援を承っています。お気軽にご相談ください。
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